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 第四章 律令制下の若越
   第二節 人びとのくらしと税
    二 荷札木簡と税
      調
 人頭税の中心的なものの一つである調は、当国の産物を男子に課したものである。調は繊維製品を基本とするが、それ以外の雑物(金属製品や多様な海産物)を出すこともある。その賦課量は年令によって差があり、次丁(六一〜六五才)は正丁(二一〜六〇才の成人男子)の二分の一、中男(一七〜二〇才)は四分の一というように、壮年層である正丁が最も多く、それ以下あるいはそれ以上の年令層では少なくする規定であった。これとは別に副次的な調副物もあり、染料や繊維製品・油のほか、席・鹿角・樽など種々の物がその対象となった。
 調は次にみる庸とともに、税を出した農民が自ら都にまで輸送して来ることが義務づけられ、八月中旬から納入を開始した。そして、都からの距離により近国は十月三十日、中国は十一月三十日、遠国は十二月三十日と、納入期限が設けられていた(賦役令調庸物条)。若狭は近国だったので十月三十日、越前は中国なので十一月三十日が締切りであった。この輸納過程については、またあとで述べることにする。



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