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 第一章 原始時代の社会と文化
   第二節 米作りのはじまり
    三 祭とくらし
      銅鐸の発見地
 銅鐸は、集落跡やその近くから発見されることは少なく、ほとんどが集落跡から離れた丘陵の斜面に埋められている。丘陵斜面といっても山頂や尾根筋ではなく、それらから外れた所である。しかも、たんに埋められたというような状況ではない。というのは、布でくるんだり、赤色顔料を施したりして、埋める所をきちんと掘って二〇〜三〇センチメートル程度に浅く土をかぶせて丁寧に埋納されているものもあるからである。県内から出土している七例のうち四例が丘陵斜面や小高い所に埋められており、平坦地から発見されたのは春江町井ノ向一・二号鐸と伝井ノ向三号鐸だけである。とくに、井ノ向一・二号鐸は「入れ子」の状態で発見され、鐸身の中には振った時に音を出すための「舌」もあったという(上田三平『福井県史蹟勝地調査報告』一)。



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