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通史編序説
  宗教と文化
    三 建築・名勝と諸美術品
      建築・名勝
 若狭の密教系寺院にて鎌倉時代以来、年代を追うて建造された仏堂が今に伝存している。明通寺本堂は正嘉二年(一二五八)建立の入母屋造桧皮葺、同寺三重塔は文永七年(一二七〇)建立の高さ約二二メートルの桧皮葺でともに国宝に、妙楽寺本堂は永仁四年(一二九六)、羽賀寺本堂は文安四年(一四四七)の建立でいずれも重文に指定されている。神宮寺(小浜市)は天台宗の古刹であるが、本堂は天文二十二年(一五五三)再興された入母屋造桧皮葺の建物で、鎌倉時代の建築と推量される仁王門とともに重文である。
 丸岡城天守は独立した小丘陵上に建ち、天正四年(一五七六)柴田勝豊によって築かれたと伝えられ、現存最古の天守として知られ、重文に指定される。天守は野面積の石垣の上に建てられ、外観は二重、内部は三階、高さ一二メートル半、屋根に石瓦をふく建築物である。
 国の名勝に指定された庭園の件数は、福井県は京都府・滋賀県に次いで多い。一乗谷の朝倉氏遺跡(福井市)のうち、湯殿跡・中ノ御殿跡・南陽寺跡の諸庭園は国の名勝にも指定されて、諏訪館跡・義景館跡の庭園とともに、中世のすぐれた林泉式の庭園である。
写真9 明通寺三重塔

写真9 明通寺三重塔



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