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通史編序説
  産業・交通と都市
    一 産業・特産物
      漁業
 若狭は畿内に隣接して、日本海側において漁業の先進地であった。文永十年(一二七三)に多烏・汲部両浦寄合のハマチ網のことがみえ、少し遅れて多烏・汲部寄合のシビ網の立網、御賀尾浦の立網などの存在が記される。天文二年(一五三二)の常神神社(三方町)の棟札銘にみえる大網、同十年の御賀尾浦惣中大網など、浦惣有の大規模な網で、近世初期の日向・早瀬(美浜町)、常神・神子(三方町)の大敷網へとつながるものであろう。十六世紀のはじめに、ハマチ網が日向浦より越前の河野浦(南条郡河野村)へ伝えられている。



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