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通史編序説
  産業・交通と都市
    一 産業・特産物
      製塩業
 若狭の海岸は古代において製塩業が盛んで、藤原宮跡や平城宮・京跡からは調として若狭から送られた塩の付札の木簡が多数発見されている。製塩遺跡の分布状態からみて、高浜・大飯両町付近と小浜市田烏付近が中心であったらしい。岡津製塩遺跡(小浜市)は代表的なもので、発掘整備されており、大規模な製塩炉跡や広大な焼土面、多数の製塩土器片が出土して国指定の製塩史跡として知られる。中世においても御賀尾(三方町神子)・多烏(小浜市田烏)・汲部(小浜市釣姫)をはじめ諸浦に製塩がみられ、また敦賀湾の東浦(敦賀市)の集落などにも中世以来の塩業史料が存する。近世に至り瀬戸内製塩の販路拡大につれて食塩の製造は挫折し廃絶の途をたどることになる。



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