福井県には、嶺南に、日本海側には数少ないリアス式海岸をようする若狭湾国定公園が広がり、また、敦賀市杉津から石川県加賀市尼御前岬にいたる全長一〇八キロメートルの海岸線は、越前加賀海岸国定公園として、それぞれがすぐれた海岸景勝をほこっている。一方、奥越には福井・石川・富山・岐阜の四県にまたがる白山国立公園と、奥越高原県立自然公園が広がり、近年のアウトドアブームやスキー・スノーボードの流行によって、多くの若者が四季を通じて訪れている。各自治体などが主催するイベントは一年を通じて数多く、冬季には「越前がに」や若狭のふぐ料理を求める観光客もふえている。一九九三年(平成五)現在、県内外から訪れる観光客の総数はのべ約二五〇〇万人にもおよび、消費総額も約七三〇億円に達している(『県統計書』)。
戦後間もなく県内各地で活発化した観光客誘致の動きともかかわり、県や関係市町村が中心となって嶺南一円と三国・芦原地域について積極的な国立公園指定の陳情運動を行った(『福井新聞』46・11・29、47・1・23)。その結果、前者は五五年(昭和三〇)六月に、全国第七番目の国定公園として指定をうけ、後者は、「福井県立公園条例」にもとづき、五二、五七年に指定された九頭竜・越前海岸両県立公園が、六八年四月に国定公園へとそれぞれ昇格を果たした。なお六二年には敦賀半島が若狭湾国定公園に追加指定され、七一年には福井新港と臨海工業地帯造成計画により三里浜一帯は公園指定を解除された。 |