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 第四章 高度産業社会への胎動
   第二節 地域振興と県民生活
     二 道路・鉄道の改良と河川改修
      その他の河川改修
 県が施工する河川改修事業に中小河川改修事業があり、一九四六年(昭和二一)以来八〇年までに約二〇〇億円を投じて、清滝川、河和田川、荒川、竹田川などの改修が行われた。また、中小河川改修事業の規模に満たない事業には、五九年以来小規模河川改修事業が適用され、八〇年までに約一〇九億円を投じて、和田川、天王川、熊坂川、志津川などの改修が行われた。このほか局部改良事業として四六年から八〇年までに約七五億円が費やされ、吉野瀬川などの改修が行われた。
 戦時中の乱伐などによる山地の荒廃によりはなはだしく増大した土砂流出に対処するため、四九年度を初年度とする砂防事業五か年計画が策定されたが、財政難のため最終年度の進捗率は一〇%にすぎなかった。五三年の台風一三号は全県下、とりわけ若狭地方に未曾有の被害をもたらした。被害後の流出土砂の調査によれば(表105)、九頭竜川のほか、とくに嶺南の河川の流出量が多く、荒廃のはなはだしいことを物語っている。これにより、砂防工事の重要性が認識され、五四年には河港課より砂防課が独立し、五五年度を初年度とするあらたな砂防計画が策定された。県の砂防事業費は四六年から八〇年までに約四六七億円にのぼり、この間の河川改修費を凌駕している。
 とくに、真名川の上流では、五九年の伊勢湾台風、六一年の第二室戸台風、六五年の四〇・九風水害などにより山崩れが随所に発生し、異常な土砂流出を生じた。このため建設省では砂防調査を進め、七七年三月竣工の真名川ダムの治水機能にも影響をあたえることから、七八年度より真名川砂防工事として建設省直轄で実施している。仙翁谷などで砂防堰堤工事がはじまり、その後も笹生川、雲川筋などの一二か所で堰堤工事を進め、八九年までに約四七億円の事業費を投じている。
表105 流域別流出土砂量(1954年)

表105 流域別流出土砂量(1954年)
 このほか県の事業として、災害復旧助成事業や、比較的規模の小さい災害関連事業、一定災(きわめて激甚な被災地に適用される事業で、六一年の北美濃地震による打波川の災害に適用された)などの改良復旧事業費は、五三年以降八〇年までに約四一三億円で、このうち河川関係事業費は三四九億円にのぼり、比較的短期間に完了をみる事業として河川改修に大きく寄与している(『福井県土木史』)。



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