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 第三章 占領と戦後改革
   第三節 経済の民主化と産業の再建
    一 農地改革
      宣伝と啓蒙活動
 農地改革の具体的な実施と並行して、福井県では改革を円滑に推し進めるため、ラジオや新聞をはじめとするさまざまなメディアを利用しての宣伝・啓蒙活動が実施された。
 すでに一九四六年(昭和二一)一二月一〇日にはラジオで「農地改革について」と題する番組が放送され、農地改革全般にわたる説明が対談のかたちをとって行われていたが、ついで翌年三月三一日の第一回買収の日には「第一回農地買収を顧りみて」が、さらに一一月には「新自作農家の感想と今後の動向について」(福井県農地課長と新しく自作農となった人の対談)、四八年九月には「小作契約について」といったその時々の農地改革に関する話題が放送された。新聞でも、広告あるいは記事のかたちで県民に対する情宣活動が行われた。また、ポスターや立看板、農林省発行の「農地改革早わかり」などのリーフレットも広範に利用された。また農地委員や専任書記のためには「農地改革ニュース」が農地委員会全国協議会の手により四七年一月から、『北陸農革時報』が金沢農地事務局の手により発行された(『北陸農革時報』6、『福井県の農地改革』、旧中名田村役場文書)。
写真58 「農地改革早わかり」

写真58 「農地改革早わかり」

 四七年五月には、県の農地課が福井軍政部と福井新聞社の後援を得て青少年を対象に農地改革に関する懸賞論文(一〇〇〇字程度)を募集した。県は新聞や市町村農地委員会を通じて大々的に広告を行い、また旧制農業中等学校・師範学校において県係員がPRのための講演を行った。このような努力が功を奏し、応募件数は九〇〇編をこえる多きにのぼった(『福井県の農地改革』、旧平泉寺村役場文書)。



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