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通史編序説
   自然と風土
    二 環境と風土性
      嶺北と嶺南
 越前は古くから越の道のくちとよばれて、京畿より北陸に入る口にあり、京畿と北陸・東北をつなぐ接点に位置した。かくて越前は北陸諸国の政治統制上のかなめとして重視せられた。京畿と隣接することが、越前の歴史のたどる道を規制すること大であったといえる。
 越前が越の道のくちとして京畿を背にして北に向かっているとすれば、敦賀港を含む嶺南は京畿と直接に連結している。京畿と嶺北との間に介在するとともに、京畿よりの影響はさらに直接的であった。敦賀・小浜の両港市は京畿と日本海岸とをつなぐ重要な地位を占め、敦賀港はさらに大陸・朝鮮半島との交渉にも大きな役割をもったのである。

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