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通史編序説
   自然と風土
    二 環境と風土性
      東と西
 福井県における人類の生活文化の痕跡は、旧石器文化の時代から確かめられる。それは地域的特色を示すとともに、当初から他地域の生活文化との交流のなかで発展していったことが注目される。
 福井県は本州日本海岸においてほぼ中央に位置する。東の風土性の西の限り、西の風土性の東の限りに近く、あるいはまた東西の風土性の入り雑じりなどが考えられる。民俗についてみるに、もとより日本各地にほぼ共通しており、とくに隣県と類似しているが、特色ある民俗をあげうる点もないではない。日本列島を民俗的に東日本と西日本に分ける場合に、福井県はあたかもその境界線付近に位置して、ある民俗については県全体が西日本に入り、他の民俗については県全体が東日本に入るものがある。さらに他の民俗については東西の境界線が越前と若狭、むしろ嶺北・嶺南により分断されるものがなくもない。東と西の関係が歴史の流れや歩みにも影響するところがあろう。


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