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通史編序説
   自然と風土
    一 越山若水
      嶺北の地形
 白山を主峰とする白山火山群を中心とする石川県境の加越山地、能郷白山を最高として岐阜県境にわたる越美山地があり、これら両山地をあわせて両白山地と総称する。加越山地は西北するにしたがい高度を減じ、通路は東より谷峠やその他の峠があり、国道八号線通過の付近に牛ノ谷峠がある。越美山地は東方より南に転じ、その間において油坂峠があり、南に転じて温見峠がある。滋賀県境に栃ノ木峠があり、北に向かって木ノ芽峠・鉢伏山が連なり、山麓海岸に迫っている。両白山地より低い越前中央山地があり、北は東西に流れる九頭竜川の河谷に限られ、足羽川はこの山地の中央部を南より北へ蛇行して流れる。日本海岸に丹生山地があり、海岸近く高地連なり、東半部は低く福井平野に移行する。
 福井平野は九頭竜川・足羽川・日野川の三大河川とそれらの支流によって形成された沖積平野で、越前中央山地と丹生山地との間にある南北約四〇キロメートル、東西約一〇キロメートル、高度二〇メートル以下の低平地である。南端の日野川左岸の堆積地に武生市、中央の台地に鯖江市が立地し、さらに足羽川右岸の自然堤防上に北庄が位置して福井市へと発展した。北部の加越台地と、丹生山地北部より東北にのびる三里浜砂丘とが、九頭竜川河口を狭めて排水を悪くし、平野の低湿性を強めてきた。
 大野盆地は両白山地と越前中央山地に囲繞され、盆地東端を九頭竜川が西北方に流れ、中央部を真名川が北流して九頭竜川に合流する。真名川扇状地の北端に大野市が立地し、盆地の北に続く九頭竜川河谷の段丘に勝山市がある。
 九頭竜川は油坂峠を源とし、大野盆地にて真名川と合流し、河谷を西へ流れて福井平野に出て、丹生山地東麓で南から流れくる日野川を合わせて流路を北に変えて三国港にて日本海に注ぐ。日野川は越美山地の三国岳に近い夜叉ケ池付近を水源として北流し、越美山地の冠山より出て越前中央山地の山間を流れ、平野部に出て流路を西北にとる足羽川と、丹生山地東麓の福井市大瀬町付近にて合流し、北へ流れて九頭竜川に落ち合う。日野川が福井平野の南端に出るところに、往昔の国府、現在の武生市が所在する。
 リアス式海岸の若狭湾の東端、敦賀湾の東縁を北すれば越前岬があって、はるかに経ケ岬と相対して若狭湾を抱く。越前岬の東北方、丹生山地の北部に、東北に伸びる海岸砂丘の三里浜が九頭竜川河口まで続く。さらに北方の雄島を望む安島(三国町)を東すれば石川県境に近く北潟湖がある。

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