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 第六章 「地方の時代」の諸問題
  第一節 地域開発施策の展開
    五 合併後の市町村行政
      福井県の過疎対策
 福井県は一九七一年(昭和四六)の「過疎地域振興方針」で過疎地域に対する対策として(1)若年労働力の地域外流出をくい止めうる魅力ある労働力提供の場を確保する、(2)過疎地域においてナショナル・スタンダードとして要求される程度の生活環境水準を確保、享受させる、の二点を課題として掲げた。
 県の過疎地域振興計画では、七〇年から七九年の事業の実績額三〇六億円のなかで、国・県道等の整備が六八・七%、基幹的な市町村道等の整備が八・〇%を占め、この二つで全体の四分の三に達しており、ついで産業の振興が二一・八%を占めている。町村の過疎地域振興計画では、七〇年から七九年の事業の実績額三二九億円のなかで、交通・通信体系の整備が二九・四%、教育文化施設の整備が二七・五%、農林水産業その他産業の振興が二五・二%、生活環境施設等厚生施設の整備および医療の確保が一四・一%の順となっている。県計画、町村計画ともに、道路の整備に大きな重点がおかれていた。これは、広域行政の事業の場合と共通する点であり、道路の整備を地域振興の中核に位置づけていた(福井県『過疎地域振興方針』一九八四年)。



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