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 第六章 「地方の時代」の諸問題
  第一節 地域開発施策の展開
    四 福祉・同和行政の推進
      障害者施設と保育所
 障害者福祉については、一九七二年(昭和四七)の「福井県長期構想」では児童から成人にいたるまでの一貫した保護指導体制と適切な施設配置、雇用体制の確立、治療施設の充実、「コロニー」の建設が示された。県心身障害者コロニー「若越ひかりの村」は、障害者の児童から成人まで、その障害の程度に応じた指導・訓練を行う拠点的な施設として、七五年に精神薄弱者厚生施設(定員一〇〇名)、七六年に精神薄弱者授産施設(一〇〇名)、七七年に精神薄弱者児童施設(一〇〇名)、八五年に重度障害者を対象とした精神薄弱者厚生施設(五〇名)が開所した(福井県福祉事業団『二十周年記念誌』)。
 六〇年代なかば以降徐々に整備されてくる身体障害者福祉施設は、八〇年で一三施設定員六九〇名、九〇年で一六施設定員一〇一〇名となった。これに対して知的障害者の施設整備は遅れており、七五年のコロニーの開所によっても、精神薄弱者援護施設は県内で三施設、定員二八〇名であった。このため父母や地域住民の協力によって、無認可の重度の心身障害者施設を設立・運営する動きもみられ、六五年に福井市で発足した「ハスの実の家」は、八〇年に小規模通所訓練事業の適用をうけ、八七年には社会福祉法人となり翌年四月、芦原町に新施設を開設した(青木達雄ほか『陽にむかって』、『福井の科学者』85・11)。知的障害者を対象とする施設は七〇年代なかば以降しだいに整備が進んで九〇年には一九施設定員一〇七〇名となっている(『県統計書』)。
 また、児童・母子福祉としては「長期構想」では、七〇年から開始していた「健康な赤ちゃんづくり」運動をさらに進めるとともに、小児医療センターの新設、保育施設の拡充強化、乳児保育の充実、児童館・児童遊園の整備があげられた。保育所数は、女性の就業者比率が全国でもっとも高い福井県の家族の特徴から六〇年代後半から七〇年代にかけて、幼稚園数を大きく上回って急速に整備された(図66)。
図66 保育所・幼稚園数(1950〜90年度)

図66 保育所・幼稚園数(1950〜90年度)




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