「ようこそ!リンドグレーンの世界へ」【Web展示】

ようこそ!リンドグレーンの世界へ

スウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの作品は、『長くつ下のピッピ』をはじめ、『やかまし村』シリーズ、『名探偵カッレ』シリーズ、『ちいさいロッタちゃん』シリーズなど、世界中の子どもたちに読み継がれています。『長くつ下のピッピ』刊行から75年となる今年、リンドグレーンの世界にふれてみてはいかがでしょうか。

なお、下線がついた本のタイトルをクリックすると、福井県立図書館の所蔵情報画面に遷移します。
「マイページ」をご利用の方は、所蔵情報から予約をかけることができます。

プロフィール

アストリッド・リンドグレーン(1907-2002)
スウェーデンの児童文学作家。1907年スウェーデン、スモーランド地方に生まれる。1945年に発表した『長くつ下のピッピ』で大きな人気を集め、その後児童書の編集者などを続けながら、『やかまし村の子どもたち』、『名探偵カッレくん』、『ちいさなロッタちゃん』など数多くの作品を発表。1958年『さすらいの孤児ラスムス』で国際アンデルセン賞受賞。作品は70言語以上に翻訳され、全世界100か国以上で読み継がれている。2002年に94歳で逝去。その年、スウェーデン政府はその功績を記念して「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を設立する。

年譜(pdf 423kb)


著作・関連書籍(福井県立図書館所蔵)



作家デビュー作


ブリット-マリはただいま幸せ』石井登志子∥訳 徳間書店 2003年
リンドグレーンは、1944年、37歳の時に、本作品でラベーン&シューグレーン社(スウェーデン)が募集した10~15歳向け作品の第2位を受賞した。(日本語訳は2003年出版)


『長くつ下のピッピ』シリーズ(3部作)


9歳のピッピは、世界一つよい女の子。ごたごた荘で、サルのニルソン氏と馬を飼い、自由きままに暮らしている。天真爛漫な女の子ピッピがくりひろげる自由と正義とユーモアにあふれる物語。
リンドグレーンは、1944年、37歳の時、娘カーリンへの10歳の誕生日プレゼントとして”長くつ下のピッピ”の物語を書く。1945年にラベーン&シューグレーン社の懸賞小説の6~10歳向け作品の第1位を受賞し、11月末に出版される。

  1. 『長くつ下のピッピ』 原著1945年 
  2. 『ピッピ船にのる』 原著1946年 
  3. 『ピッピ南の島へ』 原著1948年

大塚勇三訳で日本に紹介される

1964年から出版され、桜井誠の挿画で長い間親しまれる。

20200325_29    20200325_30    20200325_36  

左から『長くつ下のピッピ』1964年初版、『ピッピ船にのる』1965年初版、『ピッピ南の島へ』1965年初版
いずれも大塚勇三訳 桜井誠絵 岩波書店(リンドグレーン作品集)


新たな訳とニイマンの挿絵で刊行

挿絵は原著のイングリッド・ヴァン・ニイマン。
リンドグレーン自身が「ピッピの絵はイングリッドのものでなくてはならない」と言いきるほどニイマンの挿絵を気に入っていたという。

20200304_84    20200304_86    20200304_88

左から『長くつ下のピッピ』2018年、『ピッピ船にのる』2018年、『ピッピ南の島へ』2019年
いずれも菱木晃子訳 イングリッド・ヴァン・ニイマン絵 岩波書店(リンドグレーン・コレクション)


「カッレくん」シリーズ(3部作)


スウェーデンの小さな町に住む少年カッレは、夏休み、突然あらわれたあやしい「おじさん」男を見張るうち、宝石泥棒と対決することになる。
『カッレくんの冒険』では高利貸し殺人事件、『名探偵カッレとスパイ団』では誘拐事件に巻き込まれる。カッレがスリリングな事件を解決していく探偵小説。

  1. 『名探偵カッレくん』 原著1946年 
  2. 『カッレくんの冒険』 原著1951年 
  3. 『名探偵カッレとスパイ団』 原著1953年


岩波少年文庫


20200325_31    20200325_64    20200325_67

左から『名探偵カッレくん』初版1957年 、『カッレくんの冒険』初版1958年、『名探偵カッレとスパイ団』初版1960年
いずれも尾崎義訳 1.2はエーヴァ・ラウレル、3はチェスティーン・トゥールヴァール・ファルク絵 岩波書店(岩波少年文庫)

新たな訳と装丁で刊行開始


20200304_90

名探偵カッレ 城跡の謎』菱木晃子訳 平澤朋子絵 岩波書店 2019年(リンドグレーン・コレクション)


「やかまし村」シリーズ(3部作)


やかまし村は小さな村。家が3軒、子どもが全部で6人。男の子3人と女の子3人。6人はいつもいっしょ。野いちごをつみにでかけたり、木の下にひみつの小屋を作ったり・・・。
美しい自然に囲まれ、のびのびと過ごす子どもたちの様子をいきいきと描く。

石井登志子氏は「訳者あとがき」で、《まるでアストリッドが、スモーランド地方ヴィンメルビー郊外のネース農場で、兄妹たちや友だちとわくわくして過ごした子どものころの楽しい暮らしや、数々の遊びにそっくりです。》と述べる。(『やかまし村の子どもたち』岩波書店 2019年 所収)

  1. 『やかまし村の子どもたち』 原著1947年 
  2. 『やかまし村の春・夏・秋・冬』 原著1949年
  3. 『やかまし村はいつもにぎやか』 原著1952年


リンドグレーン作品集


20200304_92    20200325_37    20200325_40

左から、『やかまし村の子どもたち』1965年初版、『やかまし村の春・夏・秋・冬』1965年初版、『やかまし村はいつもにぎやか』1965年初版
いずれも大塚勇三訳 イロン・ヴィークランド絵 岩波書店 (リンドグレーン作品集)

新たな訳と装丁で刊行開始

20200325_33    20200325_34

左から、『やかまし村の子どもたち』2019年、『やかまし村の春夏秋冬』2019年
いずれも石井登志子訳 イングリッド・ヴァン・ニイマン絵 岩波書店(リンドグレーン・コレクション)


『さすらいの孤児ラスムス』で第2回 国際アンデルセン賞を受賞(1958)

国際アンデルセン賞

1953年にIBBY(国際児童図書評議会)が創設した、世界で初めての子どもの本の国際的な賞。「Little Nobel(小さなノーベル賞)」と称される。1956年に第1回の授与が行われ、初めの3回は本に贈られた。第4回(1962)からは作家の全業績に対して授与されるようになった。第1回は、エリナー・ファージョン『本の小べや』、第3回は、エーリヒ・ケストナー『わたしが子どもだったころ』が受賞
 (参考:JBBY[日本国際児童図書評議会]ホームページ)

『さすらいの孤児ラスムス』

9歳の少年ラスムスは、孤児院を抜け出し、風来坊の音楽師オスカルと出会う。オスカルと一緒にさすらい歩くうちに、事件に巻き込まれてしまい・・・。
1956年原著

山脇百合子氏は、《これぞ大活劇、何回読んでも、どきどきはらはらします。そこに居合わせて目撃しているみたいです。》と評している。(「ラスムスと何日もすごしたあとで」岩波少年文庫『さすらいの孤児ラスムス』所収)


20200325_44

さすらいの孤児ラスムス』 尾崎義訳 エーリック・パルムクヴィスト絵 岩波書店 1965年 (リンドグレーン作品集)


ファンタジー作品

『ミオよわたしのミオ』

20200325_42

ミオよ、わたしのミオ』 大塚勇三訳 イロン・ヴィークランド絵 岩波書店 1967年 (リンドグレーン作品集)  

9歳の孤児ボッセは、ある日突然別世界「はるかな国」へ迷い込む。長い間離れていた父はその国の王であった。
ボッセは王子ミオとなり、残酷な騎士カトーと戦うため冒険に旅立つ。
原著1954年
     
大塚勇三氏は、《現実の世界と、ゆたかな空想にみちた民話風の世界とがみごとにとけあっており、わたしたちはいつのまにか、ふしぎな物語のうちにさそいこまれます。》と評している。(「訳者のことば」『ミオよわたしのミオ』 岩波書店 所収)


『はるかな国の兄弟』

20200325_54

はるかな国の兄弟』 大塚勇三訳 イロン・ヴィークランド絵 岩波書店 1976年 (リンドグレーン作品集)

病気で死んだぼくは、兄のヨナタンと、死後の国ナンギヤラで再会する。
ナンギヤラでは独裁者テンギルが、村人を苦しめていた。ふたりはテンギルに立ち向かっていく。
原著1973年


『山賊のむすめローニャ』

20200325_56

山賊のむすめローニャ』 大塚勇三訳 イロン・ヴィークランド絵 岩波書店 1982年 (リンドグレーン作品集)

 雷がとどろく夜に生まれた山賊マッティスの娘ローニャは、大きくなり、となりの森の山賊ボルカのむすこビルクと出会う。仲よくなった2人は、争いの絶えないマッティスとボルカを仲直りさせようとして・・・。リンドグレーン最後の長編作品
原著1981年


「エーミル」シリーズ


天使のようにかわいい5歳の男の子エーミルはわんぱくで意地っ張りでいたずらっ子。スープ鉢に頭を突っ込み抜けなくなったり、妹のイーダを旗立て柱にぶらさげたり・・・。
スウェーデンのスモーランド地方の農場を舞台にエーミルが引き起こす騒動の数々を描く。愉快な挿絵も豊富。

  1. 『エーミルはいたずらっ子』 原著1963年 
  2. 『エーミルとクリスマスのごちそう』 原著1966年
  3. 『エーミルの大すきな友だち』 原著1970年


岩波少年文庫


エーミルはいたずらっ子    エーミルとクリスマスのごちそう    エーミルの大すきな友だち

左から『エーミルはいたずらっ子』2012年、『エーミルとクリスマスのごちそう』2012年、『エーミルの大すきな友だち』2012年
いずれも石井登志子訳 ビヨルン・ベリイ絵 岩波書店(岩波少年文庫)


ほかにも

エーミルのいたずら325番   エーミルと小さなイーダ   エーミルのクリスマスパーティー
左から『エーミルのいたずら325番』1994年、『エーミルと小さなイーダ』1994年、『エーミルのクリスマス・パーティー』1994年
いずれもさんぺいけいこ訳 ビヨルン・ベリイ絵 岩波書店



「ロッタちゃん」シリーズ


3人兄弟の末っ子ロッタちゃんは、思いついたことをすぐに実行する女の子。ロッタちゃんが、姉のマリヤ、兄のヨナスと繰り広げるゆかいな冒険や、ユーモアあふれる失敗が満載の楽しい物語。


ものがたり

ちいさいロッタちゃん    ロッタちゃんのひっこし
左から、『ちいさいロッタちゃん』1980年 原著1958年、『ロッタちゃんのひっこし』1985年改訂 原著1961年
いずれも山室静訳 イロン・ヴィークランド絵 偕成社


えほん

ロッタちゃんとじてんしゃ    ロッタちゃんとクリスマスツリー
左から『ロッタちゃんとじてんしゃ』1976年 原著1971年、『ロッタちゃんとクリスマスツリー』1979年 原著1977年
いずれも山室静訳 イロン・ヴィークランド絵 偕成社


絵本作品も多数発行

『赤い目のドラゴン』

赤い目のドラゴン

赤い目のドラゴン』 ヤンソン由実子∥訳 イロン・ヴィークランド絵 岩波書店 1986年 原著1985年

4月のある朝、ブタ小屋のかたすみで子ブタと一緒にドラゴンが生まれる。私と弟は、かわいがって育てるが、ドラゴンは夕日の中を飛び立っていく。
淡々とした語り口で子どもたちとドラゴンとの思い出を描く。



『ぼく ねむくないよ』

ぼくねむくないよ

ぼくねむくないよ』 ヤンソン由実子∥訳 イロン・ヴィークランド絵 岩波書店 1990年 原著1947年

初めての絵本作品


ほかにも・・

ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ

ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ』 山内清子∥訳 イロン・ヴィークランド絵 偕成社 1977年 原著1958年


ひみつのいもうと

ひみつのいもうと』 ハンス・アーノルド∥絵 石井登志子∥訳 岩波書店 2016年 原著1973年

Adobe Readerのダウンロード PDFファイルの閲覧には、最新の Adobe Reader が必要です。

 

会場位置MAP

会場_特集子ども