18 観光・行楽ブーム(2)
 またこの時期、新しい名所として人びとの注目を集めたのが、市街地にそびえ立つ近代的な建造物です。モダンな容姿を売り物に、時代を先がける新名所と唱われました。このころ夜間のイルミネーション(電飾)も流行し、ライトに照らし出されたビルディングの夜景が人びとの目を奪いました。そうした名所の1つに、1928年(昭和3)7月、福井市に県内初のデパートとして開店した「だるま屋百貨店」があります。「コドモ百貨店」ともよばれたように、子供をターゲットとした斬新な商法を展開し、31年1月には軍艦を型どった別館「コドモの国」(娯楽館)を新築しました。さらに同年11月からは、同館演芸場で北陸初の少女歌劇(レビュー)を開演し、日中戦争の開始により37年に閉幕するまで、多くの人びとを魅了しました。  だるま屋百貨店(夜景) 
 ▲▼だるま屋百貨店
 夜景にみる正面建物が「コドモの国」館。館内に
 は、運動場、ピンポン室、キャッチボール室、ベビ
 ーゴルフ、演芸場などが備えられ、その名のとお
 り、子どもを中心にした娯楽館であった。
  (上)福井市 吉川侃利氏蔵
  (下)福井県立博物館蔵
 だるま屋少女歌劇「タイムス」
 ▲『少女歌劇タイムス』
 同紙には、プログラムが掲載されてい
 る。1936年(昭和11)からは同歌劇ファン
 による雑誌『フアン』も発行された。
             福井県立博物館蔵
 だるま屋百貨店(絵はがき)

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