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 第三章 コシ・ワカサと日本海文化
   第二節 若越における古代文化の形成
    三 遺跡の語る日本海文化
      遺跡の語る特色
 若越における古代文化の形成過程において、日本海文化の視角から確かめられるところを、これまでに述べてきた。その場合、前項では主に文献史料によってきたのであるが、ここではさらに考古資料によって、それを確かめておく。
 いうまでもないことだが、考古資料は、古代の文献史料が限られた貴族の手によって、特定の目的や思想によって述作されているのに対し、庶民をはじめより広い範囲の人びとの手によって作られた遺物・遺跡である。そして、それらにみられるいろいろな徴証じしんが、遺物・遺跡がつくられた際の目的や意味あるいは思想を物語る。したがって、それらが語るところは、遺物・遺跡を発掘し考察する者に応じて幅と深さを変え、重点的に浮かび上がる側面も変わる。ここでとりあげる遺物・遺跡についても、地域的特性をはじめ、多様な意味づけが可能である。そうした配慮のうえだが、ここでは、とくに日本海文化とのかかわりという視角が重視されるわけである。
 とりあげた遺物・遺跡ないしそれが語る問題点は、福井県はもとよりその範囲を越えて注目される問題を示唆しているものを選んだ。そして、それぞれ縄文・弥生・古墳の各時代を代表するものを配したことについては、多言を要しないであろう。



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